Nebowの寝坊 #6
Date : 2019.04.24 / Author:Nebow
音楽は複数の感覚器官で複合的に捉えられる
暗闇では味覚が充分に働かないのと同様に
聴覚で捉えられるものも耳だけでは充分な情報が得られにくい
目で追えぬ物音は補足がしづらいものだ
映像と音楽の融和性もここにある
音楽の話となると予備情報というものがとても重要で
一般的な認知においても背景や伝説、
どこかで見聞きしたというような個人的な思い入れといったものが大きな演出になり得る
また、記譜についてはこの点においての情報の置換と逆転倒置であり
再び音に戻るその移動時に想起される”解釈”という余白への預託が大きな主点の一つになる
生み出される音楽が音になる前の沢山のそれぞれの出来事
発音と受信双方の読解力とはここに向けられる経験や感覚のこと
そして音には速さがある
音は届くまでに物理的に時間を要するものだ
またその振動が届いた上でも
耳や音だけでは音楽は充分に捉えられないもの
「良い楽興こそが世に伝わる」か、その言葉は「否」
届きやすい帯域に偏ったものづくりは人間を堕落させる
音楽が生活や精神にもたらす幸いや意義は全ての楽曲に完璧なまでに平等なものだ
そう、純粋な音楽とその記録は分け隔てなく既に祝福されている
貴方の音楽や私たちの音楽が思うようにすぐには届かない時には
その音楽が届く為の、
または受け取れる為の予備情報を積み重ねている時間であるのだと思う
純化というものは時にそうして為されるものなのだ
何故なら貴方の為だけに生み出され結ばれたその音楽達は
既にそこにあって沢山の出来事の先でこの世界で振動を始めることが出来たのだ
誰の為でもないその音楽達がより多く響き合う為にも
私達は十分な喜びと共にその時と絶え間ない新しい結実の間に在る