THIRTY THREE RECORD

アイスクリームスタジオ日誌

Date : 2021.01.29 / Author:Yawn of sleepy

親しい友人の紹介で
セネガルのサバールという太鼓(だと思う)を録らせていただいた。
予備情報はほぼ一切なしでお会いしたのだけど造形教室の先生だったそうで
セネガルでのこと、イギリスでのこと、ファインアートについてなど
なるほどおもしろいお話ばかりで嬉し楽しかった。イトマキさんという方。

個人的な印象だけど
アフリカの楽器は可聴域をまたぐ倍音が多分に含まれていることが多いと思う。
サバールは高い音の方。

以前、フルート奏者のMAKIさんに
石笛(石をくりぬいたとても原始的な笛)を聴かせてもらった時にも感じた。

室内では音が回っちゃって失神してしまう人もいるというのはわかる気がする。
ピーンって音がぐるぐる回って脳にダイレクトにきちゃう感じ。
これが大人数のユニゾンで鳴るとなるとそれはもうすごいだろう。
かなり体感的だから祭祀や儀式に用いられてきた由もわかる。

少し飛躍するかもしれないが、
本来、感覚的に捉えられる筈の音楽が現代の大衆音楽の世界では
カテゴライズされたり理論化や概念化をされがちな理由も見えた気がした。

たぶん危ないんだよね。感覚だけで進むと。
登山に例えるといきなり9合目くらいに運ばれちゃうような。
でも下山はするわけで、実際に登って来てない跳躍となると
音楽的な運動神経や感覚だけではやっぱり着地の難易度はかなり高くなる。
この話はフラワームーブメントあたりの歴史が証明するところでもあると思う。

部屋の広さや山の高さを知りながら歩くことは
その土地をまだあまりよく知らない私たちにとっては
臆病な理論武装とは違う必要性があってそれらは転ばぬ先の杖。
ま、杖でしかないし、そもそも知識を得ることは楽しいこと。
おもしろく学びながら登ってこれればいいだけの話なんだけど。

旅を重ねた方だからなのか、これからも旅を続ける方だからなのか、
登山道で挨拶を交わして少し立ち話をしたかのようなそんな収録の余韻だった。

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