THIRTY THREE RECORD

音楽駅での空理空論 #7

Date : 2021.04.06/ Author:Yawn of sleepy

音楽の中で鳴っているのは言うまでもなく人の心だ
楽器自体でも言葉自体でもない

あらゆる楽器が奏でる楽音も織り込まれる言語表現も
音楽が鳴っている時とは人の心が鳴っている時だ

この太い双方向的/相対的な連関は
誰の音楽の中にも根源的/必然的に存在する

ではその鳴っている心と価値とはどのようなものか
それは先ずその時に抱かれている奏者の感情の質である

内心や裏側に抱かれた感情そのものもそれにあたるし
密かに差し向けられたあらゆる感情もそれにあたる

全ての感情を源泉として長短の音は鳴っているし
そこに当てられたミュートさえもそこには現れる

つまり言葉による確定と楽音による連想を伴う音場の発生には
見落としてはならない敢然と働く力の根本的な存在がある

私たちはどのような感情を差し向けることができるのか
そしてまたその感情の本体こそが響きを隠さずにもたらすもの

響く筈の音が響かない時に働く力の答えを
響かぬと思える音が思うよりも響く時に働く力の答えを

時代や境遇、声や言葉、性別や音の性格に
求めてみてもなんのことはない

感情の結晶に私たちは多くを学ぶのだから
奏者/聴者にとって重要なものはやはり心の在り方/向け方なのだ

どこまでいっても音楽とは心のこと/心の持ち方についてのこと
人が鍛え磨くのはその心の表裏そのもののことなのだ

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