音楽駅での空理空論 #11
Date : 2022.05.18/ Author:Yawn of sleepy
スタジオという部屋も本来、それ自体がひとつの楽器であって、
ココとココを押さえてこうこうするとこうこう音が出る、みたいな、
それぞれ固有の響きや印象感を有するものだ。
私たちはそれぞれの環境にある響きの中でそれぞれに育てられてきた。
音楽というのは案外、簡素な仕組みをしているもので、
音だの魂だのに名前などはないわけなのだが、
そういった響きというものにも印象を知覚する人々は
愛称を以ってその心象を呼び、親しもうと試みる。
空間を抜ける音を見つけ、または見つめること。
その鳴らし方を見つけ、時間をくぐっていくこと。
発音から跳ね返って現象が肌や鼓膜に届くまでの。
それらを映した響きを以って、またはそれ自体の。
私たちを護り育ててくれるもの。
そして、正しくあろうとする時にはいつも、
それらの器が私たちを助けてくれているというものだ。